第1章

我が家のジムにあるボクシングマットの上で、私はうつ伏せに倒れている。うまく息ができない。首にはロープが巻き付いている――龍也のくだらない「練習」はもう終わったはずなのに、まだ締め付けられているような感覚がする。手首は、あいつが例の馬鹿げた小道具箱にしまっている旧式の手錠のせいで血が滲んでいる。息を吸うたび、肋骨に鋭い痛みが走る。さっきあいつのブーツがめり込んだ時、何かがバキッと折れる音がした。確かに聞こえたんだ。

また、あいつの「アクション指導」の夜だ。酔っぱらって、私を自分専用のスタントダミーにすると決めた時、あいつはそう呼ぶ。先月はナイフ捌きの練習だった――背中じゅう切り傷だらけにされた。「瑠美、腕を鈍らせるわけにはいかないからな」なんて、まるで私が感謝でもすべきかのように言った。

ジムの床は、あいつの映画用のガラクタで埋め尽くされている。偽物の銃、ゴム製のナイフ、鎖、手錠の予備。壁に貼られた古いアクションヒーローのポスターが、私を見下ろしている。昔は格好いいと思っていた。今では、ただ嘲笑われているようにしか感じない。

隅の方から、微かな物音が聞こえる。小百合がまた小道具箱の中に隠れて、必死に息を殺している。パパが「練習」している時は、静かにしていなきゃいけないってことを、あの子はもうすっかり分かっている。たった三歳で、どの小道具がママを血まみれにするのか知っているなんて。そんなこと、子供が知るべきじゃない。

スマホを探ろうとするが、手が震えて止まらない。それでもなんとか、父の番号を押した。聞こえてきた音に、胸が締め付けられる――シャンパングラスの触れ合う音、人々の笑い声、それに、美咲がいつもリクエストするジャズの曲。みんな、最高の時間を過ごしている。

「もしもし? 瑠美か?」父の声がパーティーの喧騒を突き抜けてくる。「どうして今なんだ? 美咲のゴールデングローブ賞受賞を祝っている最中なんだぞ」

「お父さん……」かろうじて言葉を絞り出す。「私……今回、本当にひどくやられたみたい。小百合を迎えに来てくれない? あんな小さい子に、こんなところ見せちゃ……」

ああ、なんて言えばいいんだろう。義理の息子にまた射撃の的にされたなんて? 下手したら死ぬかもしれないなんて? どうせまた大袈裟に騒いでるって思われるだけだ。いつもそう。

音楽が遠くなり、電話口に出たのは雅人だった。兄の声が、平手打ちのように私を叩く。

「瑠美! 本気かよ! 美咲に何かいいことがあるたびに、いっつもいっつもお前はこれだ! 日本アカデミー賞の夜なんだぞ! 星映の連中がみんな、祝いに駆けつけてくれてるんだ!」(星映ほしえい:ハリウッドに似たようなところ)

兄はさらにまくし立てる。「お前が結婚してもう四年だろ、ルミ。離婚したいって泣きつくか、殺されるって騒ぐか、どっちかじゃねえか。今夜がどれだけ大事な日か分かってんのか? 美咲はこれからオスカーを狙うんだぞ!」

何も言い返さない。言い返せるはずもない。子供の頃、雅人は私をよくおんぶして家の中を走り回ってくれたのに。今ではまるで、私が疫病神か何かのように扱う。電話の向こうから聞こえる笑い声が、ナイフのように突き刺さる。デザイナーもののドレスをまとった美咲が、どれだけ素晴らしいかと褒めそやす人々に囲まれている光景が目に浮かぶ。それなのに私は、ボクシングマットに血を流しながら、ここにいる。

七歳の頃、父のディレクターズチェアに座っていたのを思い出す。あの頃はみんな、私のことを「小さな監督さん」と呼んでいた。撮影現場で迷子になる前のこと。美咲が現れて、私の人生のすべてを奪い去る前のこと。

家を出てから十六年間で、子供が知るべきでないことを学んだ。セクハラがやまない店長のいるコンビニでのバイト。客が「うっかり」体を触ってくる皿洗いの仕事。酔客にトイレの個室へ引きずり込まれそうになりながら、酒を運ぶ仕事。

二十三歳で発見された時、もうあんな生活とはおさらばだと思った。でも、美咲はとっくに私の部屋に、私の人生に、私の家族に入り込んでいた。私がいない間に、彼女は家族の完璧な娘になっていたのだ。

「瑠美には龍也の方がお似合いよ」この結婚をセッティングした時、母はそう言った。「あの子の方がタフだから。荒っぽいことにも耐えられるでしょ。美咲は繊細すぎるもの」

そう。私はタフだ。殴られても、カメラの前では笑顔でいられる。完璧だ。

龍也は今、ソファで気絶したように眠りこけ、「ドブネズミ」「女優気取りが」などと呟いている。三十分前は、これがすべて「メソッド演技」なのだと説明していたくせに。

「本物のアクションスターはな、瑠美、暴力を理解しなくちゃならねえんだ。お前が役に入り込めるように手伝ってやってるんだから、感謝しろよな」

ええ、そうね。ありがとう、龍也。肋骨を折ってくれて。三歳の娘を偽物の武器が詰まった箱の中に隠れさせてくれて。

息をするたび、胸の中で誰かが火を点けているような痛みが走る。私の下で血が広がり、マットに黒い染みを作っていく。小百合はまだあの小道具箱の中だ。パパが本当に眠ったと確信するまで、出てこないだろう。三歳にして、路上の子供が誇りに思うような生存本能を身につけてしまった。

スマホが震える。私が死にかけているというのに、美咲からメッセージだ。

『今夜は最高だった! みんな私が次のオスカー受賞者だって言ってる! パパが翠ヶ丘の家を買ってくれるって!』

そのメッセージを、私は長い間見つめていた。そして、決してしないと誓ったことをした。

彼女に電話をかけた。

「美咲……」私の声は紙やすりのようだ。「ごめんなさい。全部。嫉妬したことも。あなたと張り合おうとしたことも。私……お願い。どうか、小百合を迎えに来て」

血まみれのマットに、私は実際に額を押し付けた。一度、二度。そのたびに、気味の悪い鈍い音がする。

美咲の笑い声が、クリスタルのようにクリアに聞こえてくる。「うっそ、瑠美! あんた今、本気で私に土下座してんの? 信じられない! 七年間、ずっとこの時を待ってたんだから!」

あまりに衰弱していて、言葉がうまく出てこない。「瑠美の家を……助けて……」

笑い声が止んだ。「え、何? あんたの子供を助けてほしいんじゃなかったの? 今度は自分が家に帰りたいって? あんた、本気で私の人生にのこのこ戻ってこれると思ってるわけ?」

小百合のことだった。小百合と言いたかった。でも、もう訂正できない。

電話口に父が戻った。「瑠美、茶番はもうやめろ。来週、撮影現場に寄るから、な? コーヒーでも飲もう。今は祝わせてくれ」

来週。父が、本当に会いに来てくれる。十六年間で初めて、自分から会おうと言ってくれた。

でも、来週には、私はもうここにはいない。

小道具箱の方へ顔を向ける。暗闇の中で、小百合の瞳が大きく見開かれ、私を見つめている。

ごめんね、小百合。お金を貯めて、計画を立てて、二人でここから逃げ出したかった。本当に頑張ったんだよ。でも、もう持たないみたい。

もしかしたら、この方がいいのかもしれない。もう大丈夫なふりをしなくて済む。痣を隠すために化粧をして、カメラに笑顔を向けなくてもいい。

でも、小百合はどうなる? あの子も私みたいになってしまうの? 決して与えてくれない人たちに、一生愛を乞い続けるの?

視界の端がぼやけていく。痛みは薄れていくが、他のすべてが薄れていく。

もう待てない。私は死ぬんだ。

小百合、本当にごめんね。ママは、あなたをこの場所から救ってあげられなかった。

幽霊が本当にいるといいな。もう少しだけ、あなたを見守っていたいから。

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